ツジカワの魅力

先輩が語る

「NC加工&円筒研磨」

ツジカワが誇る技

100年前から。100年先へ。

NC加工

作成したプログラムにもとづき、コンピュータ制御により1000分の1mm単位でドリルが座標位置を移動、自動かつ高速に彫刻が施されていく。高い寸法精度で、複雑な3次元形状への加工が可能。使用する工具の選定や加工条件の設定など、事前準備に知識が要求される。現在ツジカワでは計20台以上が稼働。同じ部品を短時間で大量につくる際に活躍する。

  • 加工パスやATC(オートツールチェンジ)のプログラムを作成

  • (上)複数の工具を組み合わせて作業
    (下)クライアントごとに情報を管理

  • 数百種類の中から工具を選定する

円筒研磨

各種鋼材(工具鋼、高速度鋼、構造用鋼)で作られたロールの表面を研磨する技術。見栄えのためではなく、精度のためにも鏡面仕上げレベルで磨き上げることが求められることもある。ミクロン単位の寸法を調整する重要な工程。平面と違って、常に点・線でしかアプローチができないため、研磨の中でも難易度が高いとされている。

  • 砥石は重く、機械で吊るして運ぶ

  • 回転し、研磨する砥石

  • プログラムの自動作業後、手による微調整が必要

ツジカワに宿る魂

〈ツジカワイズム〉
頭を動かせ手を動かせ

立ち止まって考えなければ気づけないこともある。とにかくやってみて初めてわかることもある。ミクロン単位の寸法調整はデータ通りにはいかないことも。技術が進歩し、“手作業の彫刻”でなくなったとしても、大切なことは何も変わらない。大正時代、工場を支えた職人の魂は今でも受け継がれている。

先輩が語る
ツジカワの魅力

可能性を広げ、一点を貫け。
経験を積み重ねた果てに、
自分にしかできない仕事に辿り着く。

砥石を制する
スペシャリストへ!

ロール部 研磨課
2017年4月 入社
現場を知り、更なる進化を
めざすエンジニア

ロール部 NC課
2019年4月 入社

考えることと、手を動かすこと
どちらも大切なモノづくり

ツジカワのロール技術は、飲料パックにコーヒーフィルター、マスクにウェットティッシュケース、錠剤のパッケージやベビー用おむつなど、生活のそばにあふれている日用品・衛生用品を生み出している。回転する円筒の刃が、ありとあらゆる展開図案を切り出していくのだ。その1000分の1mm単位の精緻な刃をつくり出す2人の男。NC課の三好さんと、研磨課の岩井さんだ。
それぞれの課において、最年少・最若手の2人。NC課の三好さんは工業高等専門学校の出身であるものの、専攻は化学。研磨課の岩井さんは農学部で応用生命科学を修めた。ともにやや畑違いのルーツを持つ2人は、モノづくりのイロハはツジカワで教わったと語る。
「モノづくりにはずっと興味がありました。工業全般に関係する旋盤や電子回路などの基礎は1年次に学んでいましたが、専門は化学だったし、学問と実務にはやはり差があるので、ほとんどイチからツジカワに教えてもらいました。入社して丸1年を過ごしたところで、ひと通りのやり方が身についたと感じられるようになりました(三好)」。
「食品関係の就職先を探している中で出会ったツジカワ。普段スーパーで目にするような、あらゆるモノをつくっている会社だと知って。自分が関わった製品が陳列されていたら家族に自慢できるし、仕事の喜びや達成感がわかりやすいところが魅力的でした(岩井)」。
2人はそれぞれ入社して数カ月のタイミングで、上長からあるアドバイスを受けたという。2人が今でも大切にしているというその言葉は、実に対照的なものだった。
「何事も考えて仕事をしろ、と声をかけていただきました。仕事を単なる“作業”として認識するのではなく、“なぜ・何のために”を常に考えて取り組んだほうがいい、と。そうすることでよりよい加工方法を選ぶことができるし、精度の向上や時間の短縮にもつながる。なによりツジカワの仕事は一点物の受注生産。同じことの繰り返しではない(岩井)」。
一方で三好さんに与えられた言葉は違った。
「僕の場合は、考えが長いことを指摘されました。考えることは良いことだが、手を動かさないと何も始まらない。そもそも僕の仕事はNC加工のデータ作成であり、いわばシミュレーションの領域。実際に加工を始めると取り返しがつかない現場の作業とは違って、パソコンの中でテストをすることができる。初めの頃はどうしても頭で考え込んでしまって手が止まっていた。そのとき、とにかくやってみるということも重要だよ、と(三好)」
頭を動かし、手を動かす。その両輪が、ツジカワのモノづくりを支えている。

工具を制し、砥石を制する
伝統と革新を持つツジカワ

紙や不織布などの資材を任意の形状に切るためのダイカットロール、資材に凹凸をつけるためのエンボスロールなど、一口に“ロール”といってもその用途はさまざまだ。共通しているのは、円筒であるということだけ。ロール材の大きさも硬さも、実に多岐にわたる。
だからこそNC加工の作業工程の肝は、加工パス作成にあるという。求められた造形を生み出す刃をつくるために、どの工具を使い、どのルートを通って削ることが最適か。工具にもその形状におびただしいほどの違いがある。先端がドリル型になっていたり、ボール型になっていたり。そしてその工具それぞれには、硬さの違いもある。ハイスピード工具と呼ばれるものは、もともとその硬さゆえに速やかな加工が可能であることから名づけられたが、今では“超硬”というさらに硬い合金素材も存在している。それらのすべてが“選択肢”であり、その組み合わせ方によって最適解が決まる。
「硬ければよいということではなく、コスト面や素材との相性を鑑みたうえで、工具を選ばなくてはならない。図面を受け取ってから完成に至るまでは、簡単なモノで数時間、難しければ2日以上を要することも。特に子ども向けのマスクでキャラクターが印刷されるモノなどは、非常に細かい精度を求められるため、慎重になります(三好)」。
柄が細かいと、不要部(加工残り)が出たり、作業中に工具が折れてしまったりするリスクが高くなる。それを回避する綿密な計画がNC加工パスなのだ。入社5年目を迎える三好さんは、工具が折れてもリカバリーしやすいプログラムを組み、折れた場合の代替品の選定も済ませておけるようになった。こうした想定力は経験こそが育むものだ。
ロール刃を形作るNC加工が終わると、岩井さんの担当する研磨の工程に入る。
「素材を硬くするための焼き工程が間に入ることもあります。このとき、焼きひずみが起こり、ロールの回転軸にズレが生じることがある。研磨とは表面を研削し寸法におさめるだけでなく、刃先や凹凸の振れを最小に抑えて基準面をつくる大切な工程なんです(岩井)」。
その研磨に使用する砥石。これにも一般砥石や、CBN・ダイヤモンド砥石など、実にさまざまな種類が存在している。
「研磨を経験していくなかで、先輩たちの知見も借りながら砥石の性質を知っていく。さまざまな組み合わせを学んでいくことで、この材質ならこの砥石が良いという判断ができるようになっていきました。“砥石を制する者が、研磨を制する”のです(岩井)」。
実際に計算・加工をする前に、頭の中に“攻め方”が浮かぶようになったと語る2人。そして、それが実現できるということもツジカワの魅力である、と。古くからある馴染みの工具も、新しい革新的な素材も、「ここにある」のがツジカワなのだ。