プラスチック成形品へのホットスタンプ加工基礎知識ホットスタンプ 加工とは?仕組みや印刷方式を解説!
ホットスタンプ とは、箔を転写することで製品にメタリックな加飾を施せる印刷技術です。
凸版で箔フィルムに熱と圧をかけることで製品に模様やデザインを転写することができます。
箔押しとも呼ばれ、キラキラした輝きや特別な質感を付与できることから、製品の高級感の演出や他製品との差異化、ブランドイメージの向上に寄与しています。
今回は中でもプラスチック製品への ホットスタンプ 加工について取り上げます。
ツジカワは約半世紀前からプラスチック向けのホットスタンプ版を製作しはじめ、今や国内トップメーカーとして数多くの実績を積んで参りました。
実は我々の身の回りにはホットスタンプ加工されたプラスチック製品がたくさんあるんです!
どんな仕組みなのか、どんなものに使われているのか、メリット・デメリットも交えてご紹介いたします!
ホットスタンプ 加工の仕組み
ホットスタンプ加工には
- ホットスタンプ機
- 箔フィルム
- ホットスタンプ版(+治具)
が必要になります。箔フィルムはベースフィルム・接着層などが重なって層状になっています。ベースフィルム側からホットスタンプ版で加熱・加圧 することで着色層が圧着され、ホットスタンプ版の凸部分の絵柄が転写される仕組みとなっています。
ホットスタンプの過程を動画にまとめましたので、こちらもご参照ください。
プラスチック( 樹脂 )成形品向けの ホットスタンプ 版
そもそも成形品とは?という話なんですが、ここでは主に「プラスチックを形作ったもの」 という意味合いで使用しています。
プラスチック成形品へのホットスタンプ加工に使用される版は大きく分けて下記の2種があります
- ラバー版
- 金属彫刻版
多くの場合、アルミなどの金属に特殊な耐熱ゴムを貼り付けたラバー版を使用します。
紙製品と違い、プラスチック成形品はヒケ(射出成形時に生じる凹み)や歪みがあり、転写面が均一ではありません。
ラバー版は金属版に比べてクッション性が高く、こういった凹みや歪みを吸収して、被転写物(ワーク)に密着するため加飾不良が少なく、被転写物を傷つけにくい特長があります。
一方、鉄や真鍮などの金属彫刻版はラバー版よりも絵柄の再現性が高い、印刷物に押し込んだような表現ができる、などの特長があります。
ホットスタンプ の印刷方式
プラスチック成形品へのホットスタンプは版が上下するアップダウン方式と 加圧ロールで圧着するローリング方式があります。
アップダウン方式
平面・曲面問わず製品の一部にホットスタンプ加工を施す場合に用いられます。
上からホットスタンプ版を押し当てて印刷物に箔を熱転写する方式で、成形品の形に沿った版や治具を作る必要があります。
ローリング方式
主に円筒状の製品外周にホットスタンプ加工を施す場合に用いられます。製品を機械にセットし、回転させながら版に押し付けることで印刷物に箔を熱転写するやり方です。
実用例:プラスチック( 樹脂 )成形品への加飾
ホットスタンプ加工をよく採用される製品として、 自動車部品・化粧品容器・家電製品などのの部品が挙げられます。
自動車部品
内装・外装ともにホットスタンプ加工がよく用いられています。
エンブレムなどわかりやすい場所に限らず、レバーやメーターリング、ポインター指針(メーターの針)など、細部にホットスタンプ加工を施すことでプラスチック成形品だけでは出せない高級感・意匠性を持たすことができます。
自動車外装関係
化粧品容器
外側の紙パッケージから、中身のプラスチックボトル・チューブ容器に至るまで、あらゆる所でホットスタンプ加工が多用されています。
化粧品ボトル・クリームジャー容器
商品名やライン入れのホットスタンプ加工が多くあります。
フタはホットスタンプ加工を施すこともあれば、蒸着・金冠などいろいろな方法で加飾されています。
チューブ容器
口紅・グロス容器
コンパクト
その他(家電・釣具関係・医薬品・アミューズメント関連)
家電
釣具関連
アミューズメント関連
プラスチック成形品への ホットスタンプ のメリット・デメリット
ホットスタンプ加工のメリット
- 高級感:金属光沢で製品に高級感を付与することができる
- 省工程:塗装やメッキ加工に必要とされるマスキング・乾燥などの工程が不要
- 環境負荷が少ない:塗装やメッキ加工と違い薬品や溶剤・溶液を必要としないため環境負荷を減らすことができる
- コンパクト:大掛かりな設備が不要。ホットスタンプ機は小さいものであれば卓上のものもあるほど。塗装やメッキに比べると省スペースで導入が可能
- 多様なバリエーション:箔のバリエーションが豊かなのでメタリックな質感以外にも木目調や革・ウロコなど様々な表現が実現可能
- 小ロット多品種対応可:箔や版を変えることで変化がつけられるので小ロット多品種に対応しやすい
ホットスタンプ加工のデメリット
- 制作する成形品に合わせた版・治具・箔が必要
- 大きい成形品の場合印刷工程を数工程に分ける必要がある
- 印刷範囲が限られている(曲面がきつい場合は1工程での印刷が難しい)
まとめ
紙製品だけではなく、プラスチック製品に対してもホットスタンプ加工が多く使用されていることがおわかりいただけたでしょうか?
ややもすれば安っぽく見えてしまいがちなプラスチック製品がホットスタンプ加工でグレードアップしちゃうんです。
ツジカワが製作しているホットスタンプ版や治具についてはこちらの記事もぜひご参照ください!