【保存版】 箔押しマイスターが教える!箔押し前の準備いろいろ
今回はツジカワの箔押し マイスターに登場してもらい、箔押し前の準備作業について教えてもらいました!
内容としてはかなりニッチというか、マニアックな話にはなりますが、箔押し加工をスムーズに進められるかどうかは、実は準備作業にかかっている、といっても過言ではないくらい重要な作業なのです。
そもそも箔押しとは!?という方は先にこちらの記事を御覧ください。
→箔押しとは?→箔押し印刷 用金属版 について ―箔版: 腐食版編-
→箔押し印刷 用金属版 について ―箔版: 彫刻版編-
今回箔押しに使用しているのはこのようなアップダウンの箔押し機です。
ツジカワの箔押しマイスター ワタナベ
ワタナベは2009年に弊社にシニアアドバイザーとして入社しました。
ツジカワ入社以前は大手印刷会社の製造部門にてパッケージ印刷に長年携わってきた人物です。
箔押しだけではなく、紙・印刷機など紙器全般に対する幅広い知識を有しているため、ツジカワの頼れるアドバイザーであるとともに、箔押しの問題解決をしてくれる駆け込み寺的存在。
常に前向きで意欲的な姿勢と、その技術力でツジカワを支えてくれています。
渡邉 克宏
知識の幅が広く、興味のあるものはとにかく研究して極める。
アマチュア無線歴50年。
自宅に燻製ハウスを持つベーコン作りの名手で冬には長野で漬けた野沢菜を送ってくれたりする。
そんなワタナベが、箔押し印刷をスムーズに進めるために、準備として行っていることを取り上げていきます
バランス版とは?
箔押し加工に立ち会っていると、箔押し版とは別に2枚の板を熱盤に取り付けていました。
こちらはワタナベいわく「バランス版」。
熱盤の中心に箔版を配置できない場合に、機械のバランスをるための板です。
箔版と同じ高さ(一般的には7mm)の無地の版を使用しています。
動画では20mm四方程度の大きさの無地のマグネシウム版を2箇所取り付けていました。
必ず使用しなければいけない、というわけではないですが、使用することで機械の均衡を取ることができ、圧力を平準化することができます。
圧胴仕立て(※)で受けの高さを変えた場合はバランス版部分も同じ高さで圧力がかかるようにする必要があります。
※圧胴仕立てに関しては後ほど説明します!
柄転写とは?
よく見ると、印刷物を置く場所にも何やら紙が貼ってあります。
これは、「柄転写(がらてんしゃ)」と呼ばれるもので、絵柄をカーボン紙などで、紙に転写したものです。
これを実際に箔押しが印刷される場所に固定し、箔押し位置を正確に確認できるようにします。
例えば一部箔がつかないところがあったとしても、柄転写をしておけば、どの部分をムラトリで調整すればよいかがわかります。
ムラトリとは、柄転写した紙の上に、フィルムなど挟んでムラなく箔がつくように圧力を調整する作業です。
動画では上からグラシン紙を貼って細かいムラトリをしています。
圧胴仕立てとは?
さて、柄転写もセットしていざ箔押し、と思ったら「圧胴仕立て」に使用する素材を引き出しから出してきました。
圧胴仕立ては単に「仕立て」とも呼ばれ、受けのクッション性を変えることで箔の性能を引き出たすために行います。
動画では仕立て材としてエポキシ樹脂でできた積層板(動画内ではグラスボードと呼んでいます)、パルプを圧縮してできたプレスボード、PPシートをご紹介しています。
箔押しやエンボス加工にムラが見られるときは、こういった仕立てを使用することで改善される場合があります。
仕立ての使い方や、その効果についてはこちらの記事を御覧ください!