前回の記事で 3Dプリンター の基本的な仕組みやデータ形式、モデリング等について解説いたしました。

今回の記事では、ツジカワ保有の3Dプリンターの種類やその特徴、何が作れるのかを作品例とともにご紹介いたします!

 

3Dプリンター の種類はいろいろある

「3Dプリンター」とは読み込んだ3Dデータに沿って、層を積み上げていくことで立体造形を行う装置ですが、造形面積・積層方法・積層ピッチ・使用できる材料などによって、様々な種類の機械が存在します。

どんな3Dプリンターを使用するのかによって仕上がりが大きく異なるので、作りたいものがどんなものなのかによって、一番最適な造形方法を選定する必要があります。

3Dプリンター造形物 左から マニキュアモックアップ、福助のなかにライトがしこまれたオブジェ 鳥獣戯画のうさぎのオブジェ
これら全部、ツジカワの3Dプリンター製

ツジカワの保有する 3Dプリンター

ツジカワの保有する3Dプリンターは、大きく分けて3種類

  • 大型で高速造形が可能な3Dプリンター『Massivit』
  • 精密でフルカラー造形が可能な3Dプリンター『J750』
  • 広く一般に流通する「FDM方式」の3Dプリンター

何がどう違うのか、掘り下げてみましょう。

大型で高速造形が可能な3Dプリンター『Massivit1800』

Massivit 1800 大型3Dプリンター

『Massivit1800』は、高さ1.8m×横幅1.4m×縦幅1.2m程度と、世界最大級の造形サイズ。直径1m×高さ35cmの円柱のようなものなら1時間で造形可能な速さを持つ、大きな造形物を作成することに特化した3Dプリンターです。

おおがた3Dプリンターで造形された巨大なシーラカンスの口に人が入っている
人より大きなオブジェも造形可能!

造形物は中空構造で作成することができるため、大きな造形物でも重量を軽くし、輸送・設置のコストをおさえることができるのも特長です。

モデルを分割して造形することで、更に巨大で複雑な形状も造形可能です。

造形に使用するプリントヘッドは左右に2つあり、同時使用が可能なため、2個のモデルを同時に造形することで更なる高速化を可能にします。

大型3Dプリンター積層方法イメージ図 樹脂が出るノズルの横にUV照射ライトがあるため積層したそばから固めていく
積層方法イメージ

Massivit専用のUV硬化樹脂を積層し、UVライトで硬化させながら造形を行います。

専用樹脂なので、色や材質を選ぶことはできません。

積層ピッチは、0.85mm/1.0mm/1.3mmの3種から選ぶことができます。

造形後のモデルは、協力会社に依頼し、質感や色を理想の形に仕上げてもらいます。

中に鉄骨を入れることで強度を上げることも可能です。

メタル加工が施された福助の3Dプリンター製オブジェ
銀鏡塗装を行ったオブジェ

大きな造形物が作成可能なので、イベント向けの大型オブジェや店舗内装飾などに多く使用されます。

イベントオブジェなどは写真掲載がなかなか難しいので、制作事例は 【メーカー公式youtube】 をご覧ください!

精密でフルカラー造形が可能な3Dプリンター『J750』

『J750』は、積層ピッチ14μの精密さで、フルカラー・透明色の造形が可能な3Dプリンターです。

3D-CADで貼り付けたテクスチャや、データ上で設定した色味をそのままフルカラーで造形できます。

クリアとカラーの同時造形で、液体のような表現も可能です。
積層方法イメージ

J750専用の液体樹脂を噴射し、UVライトで硬化させて造形します。

専用樹脂には、様々な特性を持つものもあり、組み合わせにより硬さや透明度を調整した造形も可能です。
積層ピッチは、14μm/27μmの2種から選ぶことができます。

メタリックな色合いを出したい場合などは、協力会社に依頼し、質感や色を理想の形に仕上げてもらいます。

精密造形を得意とする機種なので、データ上で機構を盛り込めば、パーツを後で組み立てることなく複雑なモデルを作成することもできます。

3Dプリンター製 モンキーレンチ
モンキーレンチも一体型で造形可能

 

広く一般に流通する「FDM方式」

テレビやネットで「3Dプリンター」と紹介されるときに出てくるのが、FDM方式の3Dプリンターです。機械そのものや材料が手に入りやすいことから、広く一般に流通しています。

前の2つと違い、FDM方式だけを総称で呼ぶのは、様々なメーカー・機種が存在していて、一つにしぼることができないから。

ツジカワでも、メーカーや造形範囲の異なるFDM方式の3Dプリンターを複数種保有しています。

金色と銀色のフィラメントで製造された3Dプリンター製シーラカンス頭部
メタリックな材料を使えば、塗装無しでメタリックな造形も可能!
FDMの積層イメージ図
FDM方式積層イメージ図

「FDM方式」は、日本語だと「熱溶解積層方式」と呼ばれます。読んで字のごとく、樹脂材料に熱を加えながら積層し、造形を行います。

FDM方式の3Dプリンターで使用される素材はコードのように細く長い形状をしており、「フィラメント」と呼ばれます。

いろいろな色のフィラメント
いろいろなフィラメント

FDM方式は、フィラメントの種類がとても幅広いのが特徴です。

白や黒はもちろん、赤や青、緑と幅広いカラーバリエーションがあり、パールやメタリック、クリアカラーなどの特殊なものも存在します。

最近は環境に配慮した、木などの自然素材を使用した材料も販売されています。

様々なフィラメントで作成された3Dプリンター製のオブジェ
異なるフィラメントで造形したモデル。とってもカラフル!

造形スピード・精度・造形サイズにおいて『Massivit』と『J750』の中間に位置していて、何かと使いやすい機種ではあります。ツジカワ内でも、ちょっとしたものはFDM方式で造形することが多いです。

3Dプリンターで作成した展示会のディスプレイ什器
自社展示会用の什器も、すぐに作れちゃいます!

3Dプリンター作品例

ツジカワが保有する3Dプリンターにも様々な種類がありますが、使用される分野もこれまた様々。

どういったものに使用されることが多いのか、一部ご紹介いたします。

モックアップ

モックアップとは、工業製品などの「試作模型」のことで、デザインコンペティションやプレゼンテーションなどで使用されます。

デザインラフだけでは伝わりにくい細かなディティールも、モックアップを作成することでイメージの共有が可能になり、説得力が各段に高まります。

3Dプリンター製 化粧品ボトル、ジャーモックアップ
J750で作成した化粧品ボトルのモックアップ

化粧品などの小型モックアップ作成だけでなく、車のフロントグリルやシートのような大型のモックアップ作成も手掛けています。

自動車のシート ドアパネルの大型モックアップ
自動車のシート、ドアパネルのモックアップサンプル 提供:アルテック株式会社様

オブジェ・立体看板

ウィンドウディスプレイやイベント企画、展示会ブース装飾などに使用されるオブジェは、ブランド価値の訴求やプロモーションに効果的です。

オブジェや立体看板は、その存在感によって視線を惹きつけ、注目を集めることができます。また、ブランドの特徴や世界観を表現することで、ブランドイメージの訴求にも役立ちます。

3Dプリンター製 ツジカワロゴマーク立体看板
展示会用に作成した、ツジカワロゴの立体看板

ツジカワでは、手のひらサイズから2mを超す大型のオブジェまで、幅広いサイズのオブジェを作成することができます。

また、中空構造や組み立て可能なオブジェも作成可能で、搬送時も容易です。

ツジカワ展示会ブース前のしー

  

アート作品

立体アート作品の造形は、ツジカワの3Dプリンター事業が得意とする分野のうちの1つです。

アーティスト様の求める最終仕上がりに合わせ、協力会社様と連携しながら完成まで導くノウハウと実績があります。

ツジカワは、これまでにも多くの一流アーティストから信頼をいただき、立体作品を作成してきました。

3Dプリンター製 山口歴様個展作品 LISTEN TO THE SOLITUDE
山口 歴様個展「LISTEN TO THE SOLITUDE」(主催:銀座 蔦屋書店)《PROMINENCE NO. 1》
NY在住の現代アーティスト、山口 歴様の初の立体作品制作に携わりました。
3Dプリンター製 コシノジュンコ様作品「対極の美ー無限に続く円ー」
瀬戸内国際芸術祭コシノジュンコ様「対極の美ー無限に続く円ー」
作成過程についてはこちらから

大型の作品以外にも、「エディション」「マルチプル」と言われる、アーティスト様による完全指示のもと限定増産されたアート作品も手掛けています。

3Dプリンター製 山口歴様作品
山口 歴様《PROMINENCE NO. 1》のエディション作品


ツジカワ3Dプリンター造形事業の強み

アイデア段階から造形までの伴走

アイデアスケッチでも構いませんので、まずは製作したいものに関してのできるだけ詳細な情報をお教えください。経験豊富なデザイナー、エンジニアがお客様の要望に合わせた最適な提案をいたします。

3Dモデリング技術

創業から積み上げてきた金型作成の経験から様々なソフトを備えているため、多様なデータ形式に対応しています。 3Dモデリングだけの依頼もお受けしておりますので、気軽にご相談ください。

幅広い造形オプション

精密~大型まで、幅広く機種を保有しておりますので、様々なご要望に対応できます。大きなオブジェも小さなオブジェも両方作りたい、そんなご相談もお待ちしております。

現物からのスキャンとデータ修正

アーティスト様が作成された一点もののアート作品や、現在販売していない古いサンプルをスキャンし、3Dプリンター造形を行うことも可能です。

スキャンしたデータの形状修正を行ったり、データ上で分割や鉄骨を入れる機構を組み込むことも可能です。


以上が、ツジカワの保有する3Dプリンターのご説明でした!
きちんと特性を理解して使えば、夢のような機械であることは間違いありません。

思ってたよりややこしいな…と思って3Dプリンターを敬遠してしまう前に、「どうやって作ればいいの?」そんな疑問からでもご相談ください!